英語教育は早い方がいい、とよく言われます。その一方で、母語である日本語がきちんと習得できないうちに他言語を習得してもどっちつかずになってしまう、といった意見もあります。結局、英語教育は早い方がいいのか、遅い方がいいのか、どちらなのでしょうか。本記事では、英語教育は早い方がいいとされる理由や日本語教育の妨げにならない理由、早期教育のメリットや成功のポイントをご紹介します。

 

目次

英語教育は早い方がいい

結論から言うと、英語教育は早い方がいいでしょう。ただし、やみくもに幼いうちから英語教育を行えばいいというわけではありません。まず、早い方がいい理由を4つ、詳しく解説します。

 

大人より子どもの方が習得が早い

第一言語として日本語だけを習得した大人が第二言語として英語を学ぶより、子どものうちから両方の言語を同時に学んでいた方が習得が早いとされています。これは特に、英語に限らずある一つの言語を習得するのにかかる時間は、2200時間とも3000時間とも言われていることにも由来します。

 

一方、学校で行われる英語教育は、小学校にも導入されたと言っても小学校〜高等学校を合わせて1000時間程度です。つまり、学校の英語教育だけに任せていては、第二言語習得のために必要な時間の約半分程度しか学習できず、中途半端に終わってしまいかねません。大人になってから残りの1000時間を確保するのは難しいでしょう。

 

そこで、子どもの頃に先に1000時間以上を確保しておき、学校教育では不十分な英語教育の補完を行っておけば、早く英語が身につくと考えられます。

 

ネイティブらしい発音が身につく

ネイティブらしい発音を身につけるためには、年齢的に早い方が良いでしょう。これは、日本語と英語では使っている周波数に差があるため、早いうちからネイティブ英語の発音をたくさん聞かせ、喋らせることで、ネイティブの英語を聞き取るのにも、子どもが自らネイティブに近い発音をするのにも役立つためです。

 

しかも、ネイティブらしい発音を身につけられる時期には限界があり、その時期は9歳とも、遅くとも12〜3歳とも言われています。そのため、早期に英語をたくさん聞かせ、喋らせることが大切なのです。ただし、なんでもいいから聞かせれば良いというわけではなく、質の良い英語をたくさん聞かせることが重要です。

 

言語学習には「臨界期」がある

言語をスムーズに習得できるのは、一定の年齢までだとする説があり、これを「臨界期」と言います。臨界期は9歳ごろとする説も、12〜15歳ごろとする説もあり、どの国でも母語をスムーズに習得できるのは臨界期までの間、母語にずっと触れているからだと考えられています。

 

つまり、母語でない外国語、第二言語がスムーズに習得できないのは、臨界期を超えてから習得を始めるからだ、とするのが臨界期仮説の主な主張です。とはいえ、臨界期仮説については否定する説も一部にあり、「臨界期」ではなく「効率的に言語を獲得しやすい時期」なのではないか、とする研究者もいます。

 

いずれにしても、効率的に英語を習得するには早期教育をするのが効果的である、とするのは間違っていないのではないでしょうか。

 

英語が小学校中学年から必修化

2020年4月から、小学3・4年生でも英語学習が必修化しました。小学3・4年生の場合はまだ体験学習という段階であり、成績にはなりませんが、小学5・6年生からは教科となり、成績もつきます。このようにますます低年齢化する英語学習スタートに対応するためには、早めの準備が重要です。

 

英語教育は日本語教育の妨げになる?

早すぎる英語教育は日本語教育の妨げになる、という意見も散見され、英語の早期教育の争点の一つとなっています。ある研究によれば、二言語を同時に学ぶ「バイリンガル教育」を受けている子どもは、母語だけを学ぶ「モノリンガル教育」を受けている子どもと比べて語彙力が低い、という結果が出ています。しかし、これはどちらかの言語でのみ語彙力を調べた場合であり、二言語を合わせた語彙力で見れば、どちらも語彙力に差はないそうです。

 

つまり、日本語の習得という面から見たとき、母語だけを学んでいる子どもに比べれば、バイリンガル教育を受けている子どもは、日本語の語彙にやや乏しいかもしれません。しかし、それはあくまでも成長途中だからであり、日本語教育も英語教育もしっかり行えば、最終的にどちらの言語でも十分な語彙を得ることは可能だと言えるのです。

 

結論としては、英語教育が日本語教育の妨げにはならない、ということです。成長途中において一時的に、同年代の日本語モノリンガルの子どもと比べて語彙力が低いという結果が出る可能性はありますが、一生、日本語教育の妨げになるというわけではありません。

 

早期英語教育のメリット

早期英語教育のメリットについて、4つの点を解説します。

 

英語への抵抗感がなくなる

年齢が上がるほど、英語を「勉強」として学習していくため、抵抗感が増えてしまうこともあります。特に、小学校3・4年から英語教育が学校の授業としても採り入れられた以上、初めて触れる英語が勉強である、という子どもはさらに増えると予想されます。学校で勉強として「やらされている」と思うと、どうしても抵抗感を持ってしまう子は少なくありません。

 

そこで、英語が勉強にならないうちに、日常生活の一部として日本語と同じように英語を学習させることが大切です。日本語と同じように、自然にコミュニケーションの一環として英語を使うようにしていれば、英語への抵抗感なく英語に触れることができます。教科として英語を学ぶときにも、スムーズに学習に入りやすいでしょう。

 

英語脳、英語耳が育つ

私たちが日本語を話すときは日本語で物事を考えるように、英語を話すときは英語で考える、というのが「英語脳」です。英語脳を持たないモノリンガルの日本人は「日本語脳」しか持たないため、英語を聞いた後いったん脳内で日本語に訳し、日本語で返答を考え、英語に訳して発するという話し方をします。つまり、脳内変換の手間がかかる分、スムーズな受け答えができないのです。

 

そこで、英語で話したり書いたりするときは英語で考える「英語脳」を身につけることで、英語でコミュニケーションを取るのに役立ちます。また、日本語と英語では使う周波数が異なるため、ネイティブの英語を聞き取りやすくする「英語耳」を育てることも非常に重要です。これもまた、ネイティブの発音に触れるのが早ければ早いほど効果的だとされています。

 

異文化への適応性がもてる

英語話者、日本語話者はそれぞれ言語に性格もある程度左右されます。例えば、日本語には英語表現や曖昧な表現が多彩ですが、それは日本という国の国民性や文化と密接に結びついています。逆に、英語では主体性やはっきりとした個人主義が重要視されます。

 

英語を早期に学ぶことで、こうした英語圏の文化に適応しやすくなるだけでなく、多様な文化があるということを柔軟な子どものうちから知ることができ、異文化に対しても寛容になりやすくなるでしょう。

 

イマージョン教育ができる

イマージョン教育とは、その言語に浸り切った状態で言語獲得を目指すという手法で、母語を獲得するのと同じやり方で行う言語習得方法です。つまり、オールイングリッシュの環境に子どもを置くことで、英語を日本語と同じように、日常の一部として自然に獲得しやすくなると考えられます。

 

早期英語教育を成功させるには?

楽しみながら学ぶ

早期英語教育とは言っても、ぎちぎちの座学になってしまっては結局、学校教育と同じように勉強しているのと同じことで、英語への抵抗感が増すばかりです。子どもが楽しみながら主体的に英語を学べるような環境作りが必要です。例えば、英語の歌を一緒に歌う、英語の絵本を読み聞かせするなどのやり方は親子で楽しみながらできて良いでしょう。

また、日常生活の中で子どもが興味を持ったものに対し「これは英語でなんて言うのかな?」などと聞いたりするのも良いきっかけになります。英語を勉強としてではなく、あくまでも日常生活の一環として、さらに子どもが主体となって学べるよう、大人はサポートしていくことが重要です。

 

イマージョン教育を行う

メリットともかさなりますが、イマージョン教育は早期英語教育を成功させる上で非常に重要です。日本語と同じように、コミュニケーションの方法として英語を習得できるため、母語のように吸収していけます。イマージョンとは「浸かる」という意味ですが、文字通り「学ぶ」というよりも「浴びて」習得することが重要だと言えるでしょう。

 

イマージョン教育では、英語を使って他の教科を学習したり、英語を使ってあれをしたい、これをしてほしいなどのコミュニケーションを取ります。つまり、日本語を使わない「オールイングリッシュ」の時間なのです。子どもは大人の真似をして言語を習得していくため、オールイングリッシュによるイマージョン教育は英語教育で非常に重要と言えるでしょう。

 

日本語教育も忘れない

いくら英語ができても、第一言語(母語)である日本語がおろそかになってしまっては本末転倒です。日本の文化や慣習を学ぶ、家庭での日本語教育を行うなども忘れないようにしましょう。日本で生きていれば、日本語の本を読んだり、日本語で友人とコミュニケーションをとったりすることはそれほど難しいことではないはずです。英語だけに偏らないよう、日本語教育も十分に行いましょう。

 

英語教育は早い方がいい。特にイマージョン教育で母語と同じ学び方を

英語教育は早い方がいいかどうかには賛否両論ありますが、結論としては早い方が良いでしょう。その理由は臨界期仮説や言語獲得に必要な時間、英語教育の低年齢化などさまざまな要因がありますが、いずれも早期教育の有効性、必要性を後押しするものです。日本語教育や日本の慣習、文化を学ぶこともおろそかにしないようにすれば、早期英語教育にほとんどデメリットはないと言って良いでしょう。

 

また、母語と同じように大人の見よう見まねで英語を学ぶ方法として「イマージョン教育」が効果的だとお話しました。例えば、明光キッズeのようにオールイングリッシュで保育してくれる英会話教室であれば、イマージョン教育をしっかり受けられます。英語にどっぷり浸かる時間をとり、日常生活の中で英語教育を行いましょう。